電子商取引とはどのような取引のこと?具体例をもとにわかりやすく解説

電子商取引とはどのような取引のこと? その他

ネット上で行う商品やサービスの販売を、電子商取引と呼びます。

ネット通販に関する事務作業が必要なとき、見聞きする「電子商取引」。

なんとなく意味は分かっても、「電子商取引って何?」と聞かれて即答できる人は少ないです。

電子商取引とは具体的にどのような取引を指すのか、具体例を交えながら分かりやすく解説します。

電子商取引とはコンピューターネットワーク上で受発注が行われる取引全般のこと

電子商取引とは、コンピューターでアクセスできるネットワークを介した商取引全般です。

経済協力開発機構での電子商取引の定義

物・サービスの売却あるいは購入であり、企業、世帯、個人、政府、その他公的あるいは私的機関の間で、コンピュータを介したネットワーク上で行われるもの。
引用元:経済産業省 電子商取引に関する市場調査

経済産業省の調査における電子商取引の定義

「コンピューターネットワークシステム」を介して商取引が行われ、かつ、その成約金額が捕捉されるもの
引用元:経済産業省 電子商取引に関する市場調査

パソコンやスマホからネットショップを通じて物を買うのは、最も身近な電子商取引です。

インターネット上のショップを利用しない、企業間の専用回線を利用した売買も電子商取引に分類されます。

ネットワーク上で契約が成立し、売買価格が確定すれば電子商取引として扱われます。

ネットワーク上で注文された取引であれば、決済方法や配送の方法を問いません。

物・サービスの注文はこれらのネットワーク上で行われるが、支払い及び配送はオンラインで行われてもオフラインで行われても構わない。
引用元:経済産業省 電子商取引に関する市場調査

コンビニ支払いや代金引換で現金払いをしても、取引自体は電子商取引となります。

電子マネーやスマホのQRコード決済は電子商取引になるの?

スマホで決済する〇〇ペイなど決済手段の1つであり、スマホ決済自体の利用は電子商取引に当たりません。

電子商取引は、ネットワーク上で売買が成立した取引を指します。

〇〇ペイでネットショッピングをすれば電子商取引ですが、実店舗での支払いは対象外です。

ECサイトとは?電子商取引を英語表記にするとEC(Eコマース)となる

ECとは「Electronic Commerce(エレクトリック コマース)」の略で、電子商取引の英語表記です。

「Eコマース」も一部をカタカナ表記にしただけで、電子商取引と同じ意味。

「ECサイト」表記は、使われるシーンやニュアンスにより言葉の意味が2つに分かれます。

ネットショッピングができるサイト

ネットショッピングができる大規模なサイトをECサイトと呼ぶケースが多いです。

食品やインテリア、書籍など数ある商品から目当てのものを探して注文します。

ネット通販の中で「ECサイト」と出てきたら、ネットショッピングができるWebサイトを指していると考えましょう。

電子商取引ができるすべてのサイト

商品だけでなく、サービスを購入できるサイトもまとめてECサイトと呼ぶケースがあります。

ネット上での商取引は、単純に商品を買うだけではありません。

  • 動画や音楽のコンテンツ購入
  • ネットオークション
  • ネット証券での株券や外国為替の売買

上記をネットワーク上で注文・売買できるサイトも、電子商取引ができるサイト=ECサイトと呼びます。

公的な書類の作成や技術系の専門的な話をするシーンでは、知識として覚えておくと役立ちます。

ECプラットフォームとは?Amazonや楽天市場はECモールタイプ

ECプラットフォームとは、ECサイトを作るためのシステムやソフトウェアのこと。

0からシステムを作ってECサイトを立ち上げるには、膨大な専門知識や技術が必要です。

ECプラットフォームはシステムの基礎部分がすでに出来上がっており、ECサイト作成のハードルが下がります。

特にシステム初心者向きのECプラットフォームは2種類。

  • ECモールタイプ
  • インスタントEC
出店までの手間が少ないECモール

ECモールは、大型ショッピングモールに多数のテナントショップが入店しているイメージです。

Amazonや楽天市場、Yahoo!ショッピングが代表的な存在。

例えば、楽天市場内に出店すれば、ECモールを利用したショップとなります。

決められたフォーマットに沿って商品ページを作成するため、専門知識がない人でも出店しやすいです。

無料でECサイトを立ち上げられるインスタントEC

インスタントECでは、サービスに登録するだけでECサイトを無料で立ち上げられます。

BASEやSTORES.JPは、インスタントECの中でも特に知名度が高いです。

いくつかの決められたフォーマットからデザインを選べて、ECモールよりも独自性を打ち出せるのがポイント。

ショッピングカートなど煩雑なシステムは構築済みのため、0からECサイトを作るよりも大幅に手間と費用を削減できます。

4種類の電子商取引を具体例付きで解説

電子商取引の形態は、販売者と購入者の属性によって4種類に分かれます。

種類 属性
BtoB 企業間での売買取引
BtoC 企業が販売、個人が購入
CtoC 個人間での売買取引
DtoC メーカーが企画・製造したものを個人に直接販売

一般的にネットショッピングとして広く普及しているのは「BtoC」です。

「CtoC」は利用者が増え、どんどん取り扱い金額が増えています。

フリマアプリやオークションが代表的な例です。

「DtoC」は電子商取引だからこそ実現できる形態で、消費者・販売者ともにメリットがあります。

企業間の電子商取引「BtoB」はFAXでの取引も含まれる場合がある

BtoBは「Business to Business」の略で、企業間での取引を指します。

企業間取引の例は以下の通りです。

  • 卸売業者からスーパーなど小売業者が販売する商品を購入
  • 機械メーカーが製造に使うネジを発注
  • アスクルなど企業向け通販会社から事務用品を購入

電子商取引となるのは、なんらかのネットワークを介して受発注が行われた場合です。

インターネット上の専用サイトや取引先との専用回線のほか、FAXが含まれるケースもあります。

パソコンなどコンピューターで作成・出力されたデータをFAXで出力して送受信していれば、電子商取引です。

プリントアウトした発注用紙に記入し、紙面をFAXで送信するケースは電子商取引には当てはまりません。

法人事業概況説明書にある電子商取引の項目はどう記入する?

法人事業概況説明書の記入欄
画像引用元:法人事業概況説明書

法人が確定申告をする際に提出する「法人事業概況説明書」には、電子商取引に関する記入項目があります。

電子商取引は見慣れない言葉ですが、記入自体は簡単で当てはまる項目に〇をつけるだけです。

項目 記入
電子商取引(インターネット取引) 売上 ネットショップでの売上があれば〇
仕入 ネットを介して仕入れた商品があれば〇
経費 事務用品やクラウドサービスなど、ネットを通じた経費があれば〇
上記3ついずれもない場合に〇
販売チャネル(売上が〇の場合のみ記入) 自社HP 自社ホームページで売上があれば〇
他社HP 他社の販売サイト(Amazonや楽天市場などECモールは他社HPに該当)で売上があれば〇

詳細な内容の記入はなく〇を付けるだけなので、誤りのないよう正確な内容を記載しましょう。

個人向けネットショップでの買い物やオンラインゲーム課金は「BtoC」

BtoCは「Business to Customer」の略で、企業から個人消費者向けに商品やサービスを販売します。

BtoCの電子商取引は、大きく分けると以下の3分野です。

  • 物販
  • デジタル分野
  • サービス分野

食品や雑貨が家に届く物販タイプ以外にも、様々な形のオンラインサービスが電子商取引として扱われます。

デジタル分野
  • NETFLIXなど動画配信サービス
  • 音楽配信サービス
  • オンラインゲームへの課金
  • 電子書籍の購入
サービス分野
  • 旅行予約
  • 美容室やサロンの予約
  • ネット保険
  • ウーバーイーツなどフードデリバリー

インターネット上で契約・売買が成立していれば、旅行やフードデリバリーもBtoCの電子商取引となります。

ネット上のサービスを利用して個人間取引を行う「CtoC」

CtoCは「Consumer to Consumer」の略で、所定のECプラットフォーム上で個人間取引を行います。

メルカリをはじめとしたフリマアプリ、ヤフーオークションがECプラットフォームの代表例です。

CtoCの電子商取引は、市場規模が急速に拡大中。

売上高の毎年の伸び率は12%以上で、2021年には2兆円を突破しました。

BtoCの電子商取引規模が20.7兆円、前年からの伸び率は7.35%のため、CtoCの勢いの強さが分かります。

製造元が直接販売する「DtoC」は今後成長していく可能性あり

DtoCは、メーカーから消費者に直接販売する「Direct to Consumer」の略です。

ネット通販が伸びている今、製造元が卸売り業者や小売業者を仲介せずに売るチャンスが増加中。

有名な企業では、iPhoneやMacのappleは自社サイトでも直接販売を行っています。

パソコンメーカーのほか、化粧品・健康分野のDtoCも珍しくありません。

今後は、今までスーパーで購入していた食品がメーカー公式ショップから直接購入できる可能性も。

流通をショートカットできるため、メーカーは利益が多く・消費者はより安く購入できてメリットがある取引です。

日本の電子商取引の規模は年々拡大中!伸び率が高い分野の特徴

日本の個人向け(BtoC)電子商取引は、コロナ禍で落ち込んだサービス分野を除いて右肩上がりをキープし続けています。

日本の個人向け(BtoC)電子商取引
画像引用元:BtoC-EC市場規模

常に高い伸び率で市場を拡大しているのは物販分野。

市場全体の売上高のうち、ネット通販での売上高の割合を示すEC化率は上昇し続けています。

ネット通販での売上高の割合を示すEC化率
画像引用元:物販系分野のBtoC-EC市場規模及びEC化率の経年推移

一方で、個人間ECなど急拡大分野は法整備が追いついておらず、トラブルにどう対処するかは大きな課題です。

ECサイトは国境を超えた取引が活発化している

電子商取引が活発になっているのは日本だけではありません。

特に中国から日本ECサイトでの購入額が年々増えており、世界的に国境を超えて購入する機会が増加。

これから電子商取引分野に参入しようと考えているなら、日本国内だけでなく海外への販売も視野に入れる必要があります。

本や家電はネットで買うのが主流になる?EC化率が高い物販分野

経済産業省の電子商取引調査では、細かい分野別のEC化率も公表しています。

EC化率が高い分野トップ3は以下の通りです。

分野 EC化率
書籍、映像・音楽ソフト 46.20%
生活家電、AV 機器、PC・周辺機器等 38.13%
生活雑貨、家具、インテリア 28.25%

データ引用元:経済産業省 令和3年度電子商取引に関する市場調査

書籍やDVDのEC化率は50%に迫っており、ネットでの購入がすっかり定着した印象です。

「店に行ったのに売り切れていた」「探しに行く時間がない」といった問題を解消できます。

生活家電やインテリアは、実店舗よりも選択肢が多いだけでなく、商品スペックをじっくり比較できるためEC化率が高いです。

安い店舗を選んで購入できるのも大きなメリットと言えます。

個人間EC取引は急速に増加中!トラブルになった時のために知っておきたい法的な解釈

利用者が急速に増えた個人間EC取引は、取引相手の顔が見えずトラブル発生の懸念が常にあります。

急成長した分野のため、法律による整備が追いついておらずトラブル対応に不安が残ります。

経済産業省では、法整備が整っていない代わりに「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」として法解釈を提示。

トラブル時の責任の所在について、一定のルールを提言しています。

トラブル例1:購入したのに出品物が届かず出品者と連絡がとれず、運営に責任をとってほしい

運営側がシステムを提供するのみで取引に直接関わっていないなら、運営側に責任はない。

トラブル例2:購入した出品物と出品情報が明らかに違う

  • 出品者の債務不履行として売買契約を解除できる
  • 出品情報に従った商品と交換するよう主張できる
  • 損害があった場合は相当な範囲で損害賠償請求できる

トラブル例3:ノークレーム・ノーリターンの出品物だったが説明にない汚れがひどい

出品者が知っていたにも関わらず記載しなかった傷や汚れ、故障がある場合は「ノークレーム・ノーリターン」の効力はない。売買契約の解除や代替物との交換、代金の減額を請求できる。

万が一のトラブルに備えて、一度準則の内容を確認しておきましょう。

中国からの越境ECで年間約2兆円分購入されている

国をまたいだ電子商取引は越境ECと呼ばれ、特に中国ではさかんに国外EC業者から商品を購入しています。

中国からの越境ECで年間約2兆円分購入されている
画像引用元:越境EC

中国の人が国外のEC事業者から購入した金額は約4兆7,000億円、うち日本からが約2兆1,000億円です。

中国の世界におけるBtoC電子商取引市場のシェア率は、約52%とダントツのトップ。

2位のアメリカは約19%、日本は4位につけているものの、シェア率はわずか3%です。

今後の越境EC規模は、大きく拡大すると予想されています。

今後の越境EC規模
画像引用元:今後の越境EC規模

これからECサイトを開設して事業を大きくしたいなら、世界も視野に入れる必要があります。

ECサイトの利用は便利だけど不安?電子商取引のメリット・デメリット

電子商取引は売り手と買い手のどちらにもメリットが多いものの、デメリットもあります。

ネット上で売買するため、時間や場所に関わらず販売・購入できるのは大きなメリットです。

一方で100%満足できる保証はなく、リスクも0ではありません。

利用する人はもちろん、これからECサイト運用に参入したい人はメリットだけでなくデメリットも知りましょう。

国内外問わずどこからでも売買できる手軽さは最大のメリット

ECサイトは、世界中どこからでもアクセスできて購入する時間の制限もありません。

販売者、購入者それぞれのメリットは以下の通りです。

メリット
販売者
  • 居住地や時間を問わず商品を見てもらえる
  • 世界中を相手に販売できる
  • 販売機会ロスを防げる
購入者
  • 外出せず、スマホやパソコンから手軽に購入できる
  • 他の商品と比較しながら購入を検討できる
  • 実店舗では購入できない商品も購入できる

地域の実店舗で商品を売るよりも、圧倒的に多くの人の目に触れるチャンスが多いです。

どの国にいてもスマホから片手で購入手続きに進めるため、実店舗よりも購入までのハードルが低め。

どちらにとっても、実店舗よりも便利な側面が大きいです。

デメリットはセキュリティ面への不安と店舗数の多さ

電子商取引のデメリットは、個人情報や支払いに関する不安やライバル店の多さにあります。

デメリット
販売者
  • 店舗数が多く、差別化して実売につなげるまでが難しい
  • 個人情報管理について高い信用が必要
購入者
  • クレジットカードや個人情報が悪用されないか心配
  • 店舗が多くて選ぶのが大変

同じ商品を扱うショップが他にも多数あると、なかなか商品を販売できず売上が伸びないケースも。

購入者も、あまりに店舗が多いとどのサイトで買えばいいか決めにくいのが難点です。

クレジットカードの不正利用が増加傾向で、購入者が抱えるセキュリティ面への不安は消えません。

送付先や支払い方法に個人情報を記載するため、ECサイトの信用度が高くなければ購入にはつながりにくいです。

購入者は本当に信用できるECサイトを選び、初めて利用する店ではプリペイドカードを利用するして自衛しましょう。

その他
クレジットカードecom.jp情報館
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